研究会活動

テーマ;仕組投信と裁判和解

開催年月日:平成24年4月18日

報告者;三木敏博弁護士

ウェブ執筆;同上

報告内容

1. 

三木会員は、まず、同会員担当の和解事案の概要を報告した(*)。なお、本件事案は、或る銀行が高齢者に定期預金からの乗換えとして「仕組投信」を勧誘販売した事案である。以下「本件事案」「本件訴訟」「本件仕組投信」等と言う。 
(*)後記「和解紹介」ご参照 

2.

「仕組投信」(*1)とは、資産運用の対象を「仕組債」に集中した特殊な投資信託で、実質的には「仕組債」を購入しているのと同じ経済的立場に立つ。かね てより国民生活センターが金融消費者向けに被害に遭わないようにと啓発広報に努めていた(*2)。「仕組債」は、普通社債に「金融デリバティブ(オプショ ン取引)」の仕組みを組み込んで、目先に高金利を演出できる一方、その背後に高いリスクが隠れているという新奇で複雑な投資商品。「仕組債」そのものは銀 行では販売できないので、敢えて投資信託に仕立てて「仕組投信」として販売している。高い手数料収入が得られるので、銀行が熱心に販売活動を行い、その過 程で多数の被害者が生み出されていた次第。 
(*1)「ノックイン投信」とも呼ばれている。 
(*2)http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20090108_3.html 

3. 

同会員は特に担当訴訟の経過と勧誘販売に当った担当行員に対する証人尋問の勘所について報告した。その要点は次の通り。

  1. 行員尋問の重要性
  2. 前提事情として「商品性格」の要点把握

「本件仕組投信」の商品性格=仕組み事項とリスク事項として

  1. 仕組み事項
  2. リスク事項(1)金利関係
  3. リスク事項(2)償還関係
  4. 行員尋問の組立てと実施

   [A]仕組み事項について 
[B]リスク事項(1)金利関係について 
[C]リスク事項(2)償還関係について 

意見の交換

  1. 前記報告にかかる質疑応答(省略)
  2. 中途換金の可否・難易(流動性リスク)について

井上伸会員が発議して意見交換を行った。 
(文責:三木)

和解紹介

和解紹介 担当・文責 三木敏博会員



裁判所・事件名

大阪地方裁判所・損害賠償請求事件

成立年月日

平成24年2月

事件の概要

「仕組投信」(*)を販売した銀行員に説明義務違反があったとして、販売銀行が賠償金(和解金)の支払を認めた。 
(*)「ノックイン投信」とも呼ばれる。

被害者の属性等

高齢女性(当時70歳半ば)・証券投資の知識経験はないに等しい

請求原因の要旨

被害者が以前同様に定期預金をと銀行窓口を訪問したとこ ろ、「仕組投信」の購入を勧誘された。その際、担当行員は、より良い金利が得られると有利面を強調しながら、その5年満期後の元本償還の金額が「日経平均 株価指数」に連動して、大きく「元本割れ」する可能性(リスク)があることを、分かり易く説明することを省略した。却って、前記株価指数の変動状況につ き、過去3年5年の期間幅で見れば大きく値下がりすることが数多くあったにもかかわらず、そのことを伏せたまま、最近1年間の変動状況を示しただけであっ て、被害者を安心させた=誤解に導いた。以上の諸言動は、適合性原則違反と説明義務違反に該当する。

販売銀行の反論等

「仕組投信」は被害者に適合している。必要十分な説明を行った。被害者は繰返しの説明によって「仕組投信」を理解した。

和解内容の要旨

販売銀行が被害者に「仕組投信」による損害金の約8割にあたる賠償金を支払う。

補足すべき事情

「仕組投信」に先行して「通常投信」も販売されており、同投信による損害金も賠償請求の対象となった。前掲和解内容(要旨)にはその損害金(賠償金)は含まれていない:被害者は、実質、その請求を放棄した。 
なお、「仕組投信」被害に関しては判決も出ている。全国証券問題研究会ウエブサイトを参照されたい。 
http://www2.osk.3web.ne.jp/~syouken/