研究会活動

テーマ;定年後の夫婦が銀行から仕組貯金と投資信託を購入し…

開催年月日:平成24年2月9日

報告者;大濱巌生弁護士

報告内容;定年後の夫婦が銀行から仕組預金と投資信託を購入し,損失が発生したことについて,裁判上の和解により,銀行が和解金の支払いを認めた事案について 
裁判所:京都地方裁判所 
和解成立日:平成23年11月2日

報告内容

仕組貯金の内容

本件で問題となった仕組預金は,特約判定日の米ドル円の為替レートによって満期時の償還通貨が決められる預金である(契約時に設定した特約設定レートより も円高の場合は米ドルで,円安の場合は円で償還される。)。米ドルで償還された場合,円換算すると元本割れとなる可能性がある。 
顧客は,米ドルのプットオプションの売り手の立場に立たされており,特約設定レートよりも円高になった場合,米ドルを買う義務を負う。そのため,顧客は, 特約判定日の米ドル円の為替相場の予想をして,仕組預金を購入するか判断しなければならないが,専門家でも数年先の為替相場の予想は困難である。 
また,円高が進んで大きな損失が発生する可能性が高まった局面でも原則として中途解約は認められず,銀行が解約に応じたとしても解約損害金が発生するため元本割れをする可能性がある。

被害者の主張

仕組預金の性質についての誤解があったこと,仕組預金の内容や危険性を理解する投資知識・経験がなかったこと,担当者の説明が不十分かつ誤解を招くもので あったことから,錯誤無効,断定的判断の提供による取消,不法行為(適合性原則違反,説明義務違反,断定的判断の提供)に該当する。 
・銀行の主張 
銀行は上記の仕組預金の内容については争わなかったが,被害者は仕組預金や投資信託を購入するだけの十分な知識があり,担当者が商品内容やリスクを十分に説明し,顧客は理解していたのだから,損失が発生しても自己責任である。

裁判の進行

争点整理が終了した時点で,裁判所から和解の勧告があり,銀行が仕組預金と投資信託の損害の約5割にあたる和解金の支払をすることで和解が成立した。